2011.1.14 医療に携わる者として

最近、とある接骨院内でベッドから転倒し、膝関節の激痛を生じた患者様がご来院されました。

接骨院とは打撲、捻挫、骨折の応急処置を行う所です。ご来院時、紹介状はなく、接骨院内での転倒受傷にもかかわらず付き添いもなく、しかも何も応急処置をしていません。
結局、その患者様は骨折していました。その接骨院では昨年も同様のことがありました。施設内でベッドから転落された患者様(鼻骨骨折、顔面挫傷を受傷)がおられましたが、「病院探して行ってください」とだけ患者様に伝え帰宅させておりました。
正直怒りを通り越してあきれてしまいました。ベッドからの転倒を繰り返していることにも管理責任があるとは思いますが、それよりも施設内で負傷した患者様に何の手当てもせず、紹介状も作成せずに病院も探してあげずに帰宅させるという、不親切で思いやりのかけらもない対応に心底腹が立ってしまいました。
その接骨院では500円でマッサージをしてくれるとよく患者様から聞きますが、その500円というのも3部位請求(例えば肩打撲、腰打撲、膝打撲などの車にでも撥ね飛ばされなければ生じ得ない病態)という明らかに不正な過剰請求の結果です。
患者様は何も知らずに、病名も何も書いていない受領委任書にサインを求められ署名しているようですが、患者様には非はありません。
接骨院のモラルの問題です。このような接骨院ばかりではないと信じたいところですが、開業してから勤務医時代には感じ得なかった接骨院の実態を思い知らされる毎日です。

昨日、接骨院で転倒された患者様は介護の方とお二人でご来院されたため、診察終了後、ご家族様も心配されると思うので、もしご家族様が病状をお聞きになりたい場合は夜でもかまわないのでお電話くださいと申し上げました。夜診終了後にその患者様の親戚のAと名乗る方からお電話があり、病状説明をさせていただきました。
しかし本日再びその患者様のご家族の方が病状の説明を聞きにご来院されました。
昨日Aという方に病状説明をさせていただいたことを申し上げると、そのご家族様にはAという親族はいないとのことでした。
話を進めていくうちにAというのは、その接骨院の関係者であろうとの結論にいたりました。
このような行為は犯罪に等しいことです。電話でお話する前に親族であることは当然確認しました。
電話口で説明をした当方にも問題はあったかもしれませんが、親族と偽って診療情報を聞き出すということは決して許されることではありません。

接骨院の屋号に姓名を使っておりませんので、責任者の名前はよく分かりませんが、
医療に関わる人間として最低限のモラルを持っていただきたいと思います。

コメントは受け付けていません。